手作りご飯がおすすめできない理由
手作りご飯VSドッグフードを、ペットフード販売士のうり姉が解説します!
手作りご飯がおすすめできないのは、ドッグフードがこの上なく優れたご飯だからです。
手作りでドッグフードのパーフェクトさを実現するのは不可能に近く、ドッグフードに軍配が上がるというのが正直なところです。
ここでいうドッグフードは、総合栄養食のことです。
ドッグフードの基礎知識を確認できるページです。ペットフードの定義や種類、特徴を、ペットフード販売士・ペットフード安全管理者の資格を持つうり姉がわかりやすく解説します。主食になるドッグフードは総合栄養食だけで、安心・信頼できる理由も耳寄りです。
ワンちゃんの主食になる分類です。多くの飼い主さんは総合栄養食を買っていると思います
「これと水さえあれば生きていける」というのが総合栄養食の特徴で、そう言えるくらいものすごい栄養バランスを実現しています。
総合栄養食を上回るご飯を手作りするのは、かなりの難題です…
手作りの方が愛情をこめられる気がしますが、ドッグフードと同等のご飯を手作りするのは、あまり現実的とは言えません。。。
必要な栄養がとれなければ本末転倒なので、ワンちゃんの健康のことを思うと「ドッグフードに勝るものはない」というのが、うり姉の見解です。
手作りご飯の2つの難点
手作りご飯で難しいのは、次の2つです。
逆にこの二点をクリアできれば、手作りご飯でも大丈夫ということが言えます。
栄養バランスの調整がウルトラ難しい
まず、栄養バランスの調整がムチャクチャ大変です。
炭水化物、タンパク質、脂肪など、ワンちゃんに必要な栄養素はさまざま。
それらを計算したり配分したり、日が暮れるくらい細かくて難しい栄養バランスを、メーカーが汗水流して調整してくれています。
これを自分たちで完璧にやるというのが、第一の難点です
例えば、ミネラル。
「ミネラルの相互作用」というものがあって、いろんなミネラルが複雑に関係しています。
出典:微量栄養素の利用性を科学する|京都大学動物栄養科学
上の図のように、線で結ばれたミネラル同士は相互作用することが明らかにされています。
わかりやすく言うと「何かを過剰にあげると、手をつないでいる先で何かが起こる」という感じです
絶妙~~~に量を調整したりなど、気が遠くなるような難しいことを、私たちに代わってメーカーが一生懸命やってくれています。
素人の私たちに、こんなことできるのでしょうか…
カルシウムとリンも苦戦するそうで、総合栄養食として販売するとき、比率は1:1もしくは2:1じゃないと売ることができないそうです。
ですが、これがすごく難しいとのこと。。。
「手作りフードの難しさもここにある!」って、ペットフード販売士の先生が言っていたよ
栄養バランスばっちりなご飯を手作りするのは、半端なくハードルが高いということがわかります。
たくさん食べてもらわないといけない
さらに、ワンちゃんに与える必要量がものすごく多くなります。
ドライフードの3倍くらいになるので、小型犬だと食べきるのが難しいかもしれません。
それくらい食べないと、必要な栄養だったりカロリーが満たせないってことね
ドッグフードにはギュッ!!っと必要なものが詰まっているんですね
栄養バランスの課題がクリアできたとしても、ご飯の量という壁が待っています。
手作りはほどほどがベター
「栄養バランスと量の問題をクリアできれば大丈夫」と言えたとしても、実際はかなりの無理難題です。
ワンちゃんにきちんと栄養をとってもらうことを考えると、どうしてもドッグフードに軍配が上がります。
総合栄養食のように「これと水だけで生きていける!」と言えるくらいのパーフェクトなご飯、作れますか…?
家に例えれば、ふつうに販売されている物件と素人が設計するおうち。
「こういう間取りにしたい」「こういう設備がほしい」と思ったとき、自分で設計すれば好きなだけ理想を詰め込めるのかもしれませんが、きっとどこかにボロが出ます。
ロフトをつけたことで空気がこもるようになったり、おかしなところに納戸をつくったせいで建てつけが悪くなったり。
小さなことから大きなことまでひっくるめて設計しているのがプロなので、完成度はやっぱりかなわないです。
ワンちゃんのご飯も同じで、「この栄養素をプラスしたい」とか「これを減らしたい」と思って手作りしても、ドッグフードのようなパーフェクトなバランスを実現するのは至難のわざです。
手作りするならご飯まるごとではなく、何かを添えたり加えたりするような「ほんのちょっと」が無難なのかもしれません。