良質なドッグフードのカギは「栄養素」
ドッグスペシャリステの認定者・うり姉が、「良質なドッグフードとは?」にせまります
ドッグフードで有名なロイヤルカナンに認定されているの
「原材料がドッグフードの品質を決めるのでは?」
「よくわからない部位を使わないヒューマングレードのドッグフードなら、きっと良質と言えるはず」
という風に、ドッグフードの品質は原材料の良し悪しで決まりそうなイメージがあります。
ですが、原材料そのものより、含まれる栄養素の方が大事です。
どんなに質のいい原材料を使っていたとしても、必要な栄養素がとれないのであれば、「良質なドッグフード」とは程遠いと言えます。
原材料より栄養素が重視される理由
「必要な栄養素が含まれている=良質なドッグフード」と言える理由を、お肉を例に説明します。
「ワンちゃんの食事にはお肉が適している」と考える人は少なくないですが、必ずしもそうとは言えません。
お肉を食べたとき、体内では“お肉”としてではなく、別の姿になって吸収されるからです。
消化管の中で消化されたお肉は、“アミノ酸”などの「栄養素」に分解されて、体に吸収されます。
つまり、体が求めるのは「お肉」ではなく「アミノ酸」という栄養素の姿です。
お肉そのものではなく、そこに含まれる「栄養素」が、本当に必要としているものなんです
どんなに高級なお肉だとしても、(お肉なのでそれはないですが)アミノ酸が含まれていなければ、体にとってはそこまでの価値がないということになります。
例えば、チョコチップクッキーが食べたいとするよ
どんなにお高いクッキーだとしても、チョコチップが入っていなければ意味ないですよね
高級店なのかスーパーでめちゃ安く買えるものなのかじゃなくて、チョコチップが肝!これと同じなの
裏を返せば、「アミノ酸がとれるなら、お肉じゃなくても大丈夫」とも言えます。
タンパク質源など「動物性と植物性、どちらがいいか」と議論されることがありますが、必要な栄養素がとれるなら、お肉なのか穀物なのかは大きなこだわりポイントではありません。
動物性か植物性ということより、必要な栄養素がとれることが大切ですよ~!
ドッグフードに含まれている穀物について、ペットフード安全管理者のうり姉がイラスト付きで解説します。消化性などが心配されがちですが、アレルギーがなければドッグフードの穀物は優秀な栄養源です。グレイン・グルテンの意味や消化性を確かめる方法も説明します。
原材料に求められること
ドッグフードの原材料に求められることは、次の2つです。
- 必要な栄養素を含んでいること
- その栄養素が体の中にとり込まれること
なので、これらがクリアできる原材料を「高品質な原材料」と呼ぶことができます。
- 必要な栄養素を含んでいる
- 消化性が高い(=きちんと栄養素を吸収できる)
原材料としての値段が品質を決めるわけではないということだよ
安くても必要な栄養素が含まれていて消化性が高ければ、十分高品質な原材料と言えるんです
ヒューマングレードの原材料で高品質をアピールするドッグフードもありますが、栄養素の含み具合や消化性が悪かったら、本当に良質なドッグフードとは言えない、というわけです。
ヒューマングレードの盲点ね
バロメーターは毛並みとうんち
栄養バランスは毛並みをチェック
ドッグフードの栄養バランスを判断するには、毛並みが参考になります。
どうして毛並みかというと、体重の5分の1くらいは皮膚と被毛が占めていて、その健康を維持するには多くの栄養素が必要になっているからです。
栄養バランスが合っているドッグフードを食べていれば、健康なワンちゃんはしなやかでツヤのある被毛をしています。
小型犬だと体重の約20%、中型犬・大型犬だと約10~15%が皮膚と被毛で占められているんだって
たった2種類のミネラルが不足するだけで、皮膚病になることもあるくらいだそうです
だから、皮膚と毛ヅヤは「栄養状態のバロメーター」って言われているの
ドッグフードを変えた場合は、変化がすぐに見られるわけではありません。
皮膚が新しく入れ替わるのに3週間くらいかかるので、1ヶ月を目安に毛並みをチェックします。
出典:ヘルスニュートリションラーニングプログラム・栄養バランスのとれたフードの見分け方|ロイヤルカナン
消化性はうんちをチェック
また、消化性のよさを判断するには、ワンちゃんのうんちが手がかりになります。
消化性はドッグフードのパッケージを見てもわからないので、うんちで判断します
適切な固さで量が少なければ、消化性が高いと考えられます。
「モリモリうんちの方がよさそうだけど?」と意外に思う人もいるかもしれません
消化して栄養素をとり込めているから、うんちの量が少ないんだね
副産物に対する誤解
「ドッグフードに副産物が使われていたら質が悪い」と考える人がいますが、それはちょっと違います。
「副産物」と聞くと「栄養価のない余った部分」を想像するかもしれないですが、そういうわけではありません。
理由をゆっくり解説していきますね
副産物とは
ざっくり言うと、副産物は「筋肉以外」です。
厳密に言うと、「正肉(しょうにく)」と呼ばれる筋肉の部分以外が副産物で、骨や内臓、頭部や足などがあります。
出典:ヘルスニュートリションラーニングプログラム・「副産物」とは|ロイヤルカナン
レバーやモツ、ホルモンなども副産物になるよ
人間も食べていますね
「副産物=あまりもの」ではない
肉食動物は、一般的に内臓から食べ始めると言われています。
必要な栄養素が筋肉より内臓にもっと多く含まれているからで、内臓は貴重な栄養源になっています。
「正肉=質がよさそう」「副産物=あまりもの」みたいに思いがちだけど、言葉のひびきのせいかもしれないわね
聞こえのよさや言葉のイメージに惑わされないようにしたいです
使う部分はしっかり選別
だからといって、副産物が何でもかんでも原材料になるわけではありません。
栄養価や消化性が低い部位は、ドッグフードには使われません。
鶏の羽・とさか・脚などの部分は、肥料などに利用されています
ちゃんとふるい分けされているから、安心してね