ドッグフードに使われる目的
ドッグフードの原材料名を見ると、いろんなビタミンの名前が書かれています。
「ビタミン類」とくくられていることが多いです
目的は「栄養の強化」で、栄養添加物として使われています。
ビタミンはすべて必須
ビタミンと呼ばれるものは、すべて必須な栄養素です。
アミノ酸には「必須」と「非必須」があったよね
ドッグフードの添加物であるアミノ酸について、役割から必要性をペットフード販売士・ペットフード安全管理者の資格を持つうり姉がわかりやすく解説します。必須アミノ酸の種類や豊富な食べ物、ドッグフードの原材料名によく登場するアミノ酸もピックアップです。
体内で合成することができないので、食べ物から摂らないといけません。
ビタミンの定義の一つに「正常な生理的機能を果たせるだけの量を体内で合成することができない」というのがあるわ
ビタミンの要求量は、ライフステージによって異なります。
新たな組織を次々につくるからです
成長期・繁殖期は特に多いので、メーカーは分量を考えながらドッグフードを製造しています。
ビタミンは2つに分類される
ビタミンは、「脂溶性」と「水溶性」に分類されます。
ちなみに、「ビタミン○」で欠番になっているのは、調べたら体内でつくっていたことがわかったものです。
「体内で合成できない(またはわずか)」が、ビタミンの定義のポイントだからです
また、ビタミンCも水溶性ビタミンですが、犬や猫にとって必須ではありません。
体内でつくれちゃうんだ
というか、哺乳類はつくれるんです。つくれないのは人間、猿、モルモット…
だから、私たちにとってビタミンCはビタミンじゃないの。アスコルビン酸っていうわ
ビタミンB群が、犬や猫にとって必須な水溶性ビタミンになります。
【分類1】脂溶性ビタミン
油に溶けやすいビタミンのことです。
一緒に一定量の脂肪を摂取することで、効率よく吸収されます。
脂溶性ビタミンは体の脂肪組織に蓄積されるので、摂り過ぎは要注意です。
過剰摂取に気をつけて!
ビタミンA
正常な視覚、健康な被毛・皮膚・粘膜にかかわります。
ちなみに、ビタミンAは動物の中に存在しているときの名前です。
植物の中だと「カロテン」になるよ
犬はカロテンからビタミンAに変換できますが、猫はできません。
肉食の傾向はあるけれど、私たちワンコは雑食動物なの
猫ちゃんは完全な肉食動物。植物性のものを変換する仕組みが備わっていません
ビタミンD
骨や歯の形成を助けます。
ビタミンE
強力な生体内抗酸化成分として働き、細胞膜の健全性を保ってくれます。
ズバリ、抗酸化物質です
免疫力アップ!
感染に対する抵抗力を高めてくれるから、中・高齢犬さんは要チェックだよ
ビタミンEは様々な形で存在していて、
- αートコフェロール
- 酢酸エステル
- トコフェロール
という添加物もビタミンEです。
酸化防止剤としてよくドッグフードに使われる「ミックストコフェロール」もビタミンEです
「ミックス」っていうのは、4種類あるトコフェロールを混ぜていますってことよ
ビタミンK
凝血因子の形成を調節します。
けがなどで血が出たとき、いつの間にか血が止まっていますよね
その仕組みに凝血因子はかかわっているよ
【分類2】水溶性ビタミン
水に溶けるビタミンです。
水溶性ビタミンはおしっこと一緒に排出されるので、摂り過ぎの心配がありません。
そのかわり、毎日食事から必要量を摂取する必要があります。
ビタミンB1
チアミンともいいます。
中枢神経や末梢神経の機能を正常に保つ働きがあります。
ビタミンB2
リボフラビンともいいます。
エネルギー代謝に欠かせないビタミンで、特に脂肪からエネルギーをつくり出す際に必要不可欠です。
ナイアシン(ビタミンB3)
皮膚のバリア機能の維持に必要なビタミンです。
皮膚を乾燥から保護してくれます。
犬アトピー性皮膚炎をはじめ、皮膚疾患の味方なビタミンです。
パントテン酸(ビタミンB5)
ナイアシンと同じく、皮膚のバリア機能の維持に必要です。
皮膚を乾燥から保護してくれるので、犬アトピー性皮膚炎をはじめ、皮膚疾患の子は注目です。
パントテン酸カルシウムは、パントテン酸の添加物バージョンよ
ちなみに、麦類中のパントテン酸は吸収されにくいと言われています(60%程度)。
大豆やトウモロコシ類が吸収されやすいんだって!
ビタミンB6
ピリドキシンともいいます。
アミノ酸の代謝に深くかかわるビタミンです。
ビオチン(ビタミンB7)
毛並みや皮膚の健康にものすごく重要なビタミンです。
さらに、神経系の正常な機能の維持にダイレクトに関係しています。
葉酸(ビタミンB9)
フォラシンともいいます。
神経組織の発達にかかわっています。
DNAやアミノ酸の合成にもかかわっているビタミンです。
だからママさんは「葉酸が大事」と言われるんだね
ビタミンB12
コバラミンともいいます。
動物性食品に含まれるので、野菜中心の食事だと欠乏が生じやすいです。
ベジタリアンは気をつけて!
コリン
ナイアシン・パントテン酸と同じく、皮膚のバリア機能の維持に必要なビタミンです。
犬アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患に悩みを持つ子は必見です。
人やラットは体内でつくれます
各ビタミンの豊富な食べ物
各ビタミンについて、豊富な食べ物を一覧にまとめました。
全部をバランスよく食べさせるなんて、とんでもなく難しいよね
メーカーさんは試行錯誤して、すばらしいバランスのドッグフードをつくっているわけです…
脂溶性ビタミン
ビタミン名 | 豊富な食べ物 |
---|---|
ビタミンA | 乳脂、肝油、鶏卵、肝臓 |
ビタミンD | 天日乾燥乾草、肝油、卵黄 |
ビタミンE | 緑黄色野菜、乾草、糖蜜、米ぬか、植物油、穀類 |
ビタミンK | 緑黄色野菜、魚粉、卵黄 |
水溶性ビタミン
ビタミン名 | 豊富な食べ物 |
---|---|
ビタミンB1 | 米ぬか、小麦胚芽、全粒穀類、大豆、酵母、緑黄色野菜、肝臓 |
ビタミンB2 | 乳製品、内臓、卵、緑黄色野菜、酵母 |
ナイアシン | 酵母、豆類、カツオ、マグロ、肝臓 |
パントテン酸 | 肉製品(特に肝臓や心臓)、米、フスマ、アルファルファ、ナッツ、大豆、酵母、魚粉 |
ビタミンB6 | 食肉、全粒穀類、緑黄色野菜、酵母 |
ビオチン | 卵黄、アルファルファ、肝臓、酵母、大豆 |
葉酸 | 肝臓、卵黄、緑黄色野菜 |
ビタミンB12 | 酵母、肉製品(特に内臓)、魚介類 |
コリン | 卵黄、ミルク、魚、胚芽、豆類 |
おわりに(執筆者について)
ペットフード安全管理者・ペットフード販売士の資格を持っています
資格取得を通じて学んだこと、講義で獣医師やペットフードメーカーの生の声をもとに、記事を執筆しています。
でも、獣医師ではないの。あくまで参考として役立ててもらえると嬉しいわ!
その分「わかりやすく」をモットーに書いているよ